二胡と中国琵琶が市民を魅了

<KIFA世界を知るコンサート>

時空を超えた中国悠久の調べ

  切なく、哀愁を帯びた、揺らぐ大河のような二胡の鳴り、優しく、透明感に満ちた、煌く水玉のような中国琵琶の音色が響きあう――。悠久の調べが時空を超えて会場を包みました。賞賛の拍手がいつまでも止みませんでした。
 KIFA研修部会企画による「二胡と中国琵琶の演奏会」(
2013年2月3日、市総合福祉保健センター6階ホール)は、250人を超す聴衆が来場して、あすは立春という節分の3日は、春風を呼ぶに相応しい調べに魅せられた日になりました。

           演奏者の紹介  
  二胡奏者の張勇(ちょう ゆう)さんは、中国内外で演奏活動を展開する二胡のソロ奏者。来日後はコンサートのほか、映画、TV、CM音楽、邦楽やジャズ、現代音楽との共演など、民族音楽の枠を超えた幅広いジャンルで活躍されています。二胡以外にも高胡、京胡、板胡類を弾きこなし、ダイナミックかつ繊細な表現力と卓越した演奏技術には定評があります。
 中国琵琶の邵容(しゃお ろん)さんは、国立北京中央音楽学院卒、上海芸術祭で優秀芸術賞を受賞、東京芸術大学に留学。日本文化庁派遣により国連ホール他米国諸都市において、世界で唯一現存する正倉院宝物五弦琵琶を演奏。
国際派中国琵琶奏者として注目されています。

 張さんと邵さんの共演が始まりました。
 演奏曲は、はじめに日本の懐かしい抒情曲の早春賦とおぼろ月。3曲目は草原情歌、これもよく知られた曲です。「遥か離れたそのまた向こう、 誰にも好かれる綺麗な娘がいる……ではじまる、草原に生きる遊牧民族たちの恋歌、羊飼いの娘に対する感情が切なく表現されます。そして、山口淑子が歌っていた夜来香、よく聞く歌です。
 次は中国の古典曲、十面埋伏。琵琶の邵さんのソロ演奏です。漢の高祖劉邦と楚の覇王項羽の激しい情景を表した曲で、歴代の中国琵琶奏者たちによって、この楽器特有の技巧で繊細に表現されてきました。邵さんの奏でる多彩な音色も、ときには力強く、また繊細に、硬質な音が響き合い、奏者の華麗な雰囲気と相まって、素晴らしい技巧演奏に会場は酔いました。

  次は張さんの二胡のソロで空山鳥語、中国唐の時代の詩を題材にしたもので、二胡の独特な音色と人の音声にも似た調べで、山中の静寂さと聞こえてくる小鳥のさえずりを技巧的に現しました。会場に小鳥が飛んできたような錯覚を覚える調べでした。
 チュンチュン。

 続いて牧羊女、羊飼いの娘です。この曲は新疆ウイグル自治区の美しい景色や、少女の華麗な踊りを軽やかに演奏表現していました。
  ここからはお馴染みの曲が続きました。蘇州夜曲、そして、喜納昌吉作の沖縄の花、滝廉太郎の花と、二つの花が演奏されました。

   滝廉太郎の花に会場も合唱
 アンコールに応えて何日君再来
  滝廉太郎の花に合わせて、会場からも唱和する声が湧き上がっていました。邵さんも弾き終わって笑顔で応えているようでした。
  最後は圧巻でした。モンゴル民族の夏祭りの曲、賽馬です。男の子たちの勇敢な雄叫びや草原を走る馬のいななき、蹄の音が絶妙に表現した超絶技巧の演奏で、会場からはどよめきの声も上がりました。以上11曲、二胡と琵琶による中国悠久の調べを堪能しました。
  聴衆からの大きなアンコールの声と拍手に応えて、二人は「何日君再来」「川の流れのように」の2曲を演奏しました

250人を超す来場者は、中国の歴史の中で愛され続けている民族の音に、自らの郷愁を重ねて聞き入った2時間でした。中国文化、とくに古典への関心は日本人には根強いものがあって、二胡、中国琵琶の調べは日本人の心の底流に心地よく響く古典楽器なのでしょう。
 なお、演奏会の前半の第一部では張勇氏の二胡教室門下生による生演奏が、張さんの指揮で9曲ほど演奏されました。