「幸せ王国・ブータン」を知る交流カフェ
「幸せ王国・ブータン」について3人のゲストに話していただきました――。
2012年10月28日(日)交流部会主催による「ブータン王国を知る交流カフェ」が、
まなびぃプラザ3階の研修室において開かれました。
 前年秋のワンチュク国王夫妻の来日以来、
「ブータン王国(Kingdom of Bhutan)」への関心も高く、
また国づくりの哲学としての指標,
「国民総幸福量(GNH 、Gross National Happiness)」の考え方は、
世界的にも注目されています。
経済開発について、伝統文化や自然環境を犠牲にするようなものであってはならないとしています
 
  3人のゲストスピーカーは、麗澤大学留学生で僧侶のChoten Dorji(チョテン・ドルジ)さん、横浜国立大学に留学し日本で勤務しているKesang Wangchuk(ケサン・ワンチュク)さんと、同大学留学中で妻のLeki Choden(レキ・チョテン)さん。
   3人はブータンの民族衣装で登場、世界の注目を集めているブータン王国について、伝統的な仏教文化の暮らしと社会、幸せの拠りどころについて話しました。
【 国旗の意味や由来など 】
 * 白い竜はこの国の守護神とされているもの。黄色は王家の権威を表わす色で、赤はラマ教(チベット仏教)を、白は清らかさを象徴している。
 * ブータンという国名は、公用語のゾルカ語で、自称「雷龍の国」を意味する。国旗にも、その意味の通り、龍の絵が描かれている。20世紀の半ばに、似たようなデザインの旗がいくつも作られ、1956年から現在の国旗が使われている。左上部の黄色は、王の世俗の権力を、右下のオレンジ色は、仏教を象徴している。龍の白は清浄を表し、四肢がつかんでいる宝珠は富と繁栄のシンボルとされている。

◎教育費、医療費は無料
  始めにケサン ワンチュクさん(Kesang Wangchuk) は、ブータン王国の地理、面積、人口、公用語、首都や主な都市、政治体制など基本的な事項について話されました。
  続いて、国是として世界からも注目されている、GNH(Gross National Happiness・国民総幸福量)に至った経緯と現状について説明がありました。
  ブータンには20の県(ゾンカク)があり、冬は首都がPunakahaに変わること、健康、心の持ち方は環境の質に関わるとして、人と自然の共存を大切にしていること、社会の絆を守るため老いた人も若い人もリスペクトされている。国民の経済的自立のため教育費、医療費は無料となっていることなどが話されました。





◎仏教が生活の規範
  続いて僧侶であるチョテン・ドルジさん(Choten Dorji)から、ブータン人の共通価値観となっている仏教が家庭生活、職場、学校と、どのように結びついているのか、また幸福感や満足感のよりどころとなっている仏教についてのお話をうかがいました。
  仏教が国民の日常生活の様々な場面やアイデンティティーにも深く関わっていること、食生活では無駄な殺生はしない視点から豚より牛を食べる。なぜなら一つのいのちで、大勢が満たされるからだという。
  週末や休日の過ごし方など生活全般においても、仏教と祈りが深く関わっている、王と曹長が国のリーダーとして存在している、仏教のThe Triple Gem(三宝)の思想が根底となっていることなどが話されました。



◎家長は能力によって
  コーヒータイム後、レキ チョデンさん(Leki Choden)は、女性の立場からブータンにおける家族や教育についてのお話を伺いました。
  大家族制度で個人の能力によって家長が決まるが、女系による家族構成が多くなっている。個々の名字がありFamily Nameがない。
  食生活は野菜が中心で豆料理が主流で、紅い唐辛子を良く使うという。
  ブータンの女性には政治、社会、経済、法的な差別はなく、妊婦と子どもは政府に保護されていること。但し、政治への女性の参画は少なく政治の重大決定では女性の意見が反映されていない現状があるなど、女性ならではのお話を伺うことができました。






◎ 基本データ
・国名 Country … ドゥク ユル(「雷竜の国」の意)
・人口 Popilation  … 672,425 人(2005 年国勢調査による)
・面積 Area … 38,3940 平方キロ(九州の0.9 倍)
・位置 Position … 北緯26 度45 分〜 28 度10 分、東経88 度45 分〜 92 度10 分
(緯度は沖縄本島と同じくらい)
・元首 Sovereign … ジグメ・ケサル・ナムギェル・ワンチュック国王
言語 Language … ゾンカ(公用語)、英語(教育用語)、ネパール語、シャチョップカ、 その他多くの少数言語あり
・首都 Capital … ティンプー
・通貨 Currency … Nu(ニュルタム)
・政体 Government … 立憲君主制




 コーヒータイムでは、参加者全員がお茶を飲みながら、ゲストを囲んで写真を撮ったり、会話を楽しんだり和やかな交流のひとときを過ごしました。今回のイベントへの関心が高く、会場には定員50人を越える市民が集まりました。講演は主に英語で行われ、ボランティア通訳の平田真貴子さん、門川孝子さんによる通訳を交えての交流カフェとなりました。
 
 <編集メモ>*幸せの指標
  GNH(Cross National Happines、グロス・ナショナル・ハピネス=国民総幸福量)
  先進国が社会進歩のあり方に行き詰まっているなか、30 年以上も前からGNH(Cross National Happines、グロス・ナショナル・ハピネス=国民総幸福量)を目指すことを国王自らが決意し、国是として憲法にうたい、政治・行政のなかで実践している国・ブータン王国。
  国づくりの哲学として、経済成長を至上命題とする指標「GDP(Gross Domestic Product、国内総生産)」とは異なる指標「GNH」を国の目標に据えて、世界の注目を集めています。
  GNHの四大目標とは@経済的自立 A環境保護 B文化の推進 C良き統治――です。
  経済発展を図る尺度として、先進国はGDP(国内総生産)を一つのバロメーターにしてきましたが、人々の幸福よりも経済効率のみを追求する指標GDP(かつてはGNP:Gross NationalProduct、国民総生産)では、環境や持続可能性を計画する指標にはならない。また、人間の幸福感や満足度を測る、豊かさを測る尺度とするには、不適切な面があることが分かってきました。
  「GNH(国民総幸福)」を国是とし、憲法には「民主主義」や将来世代の「環境権」の文言が明記されているブータン王国は、ヒマラヤ山脈の東側にある人口67 万人の小国。国民の貧困率23.2%、若者の失業率5.5% にもかかわらず、国民の97% が自分たちの生活を幸福と感じているという。

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